ガイナックス×スタジオディーン 100周年トークセッション

アニメは古くから世界中で親しまれ、今や日本を代表する文化の一つとなっています。今を生きる人にとってアニメは老若男女問わず当たり前のものとなっており、多くの人がアニメに何かしらの形で触れています。アニメの持つインパクトは非常に大きく、様々な企業のCMにその表現が利用され、また、その発想が科学や教育など様々な分野の進展にもつながっています。アニメは今や人類社会において一つのカルチャーを形成したといっても過言ではないでしょう。リオオリンピックの閉会式では、阿部首相自らがマリオの扮装をして、ドラえもんやキティーちゃん、キャプテン翼などの力を借りながら登場しました。これは日本という国において、いかにサブカルチャー、特にアニメが重要視されているかを物語っています。日本のアニメは、大正期に外国から輸入されたアニメーション映画の人気を受けて、天活で下川凹天が小林商会で、幸内純一が日活で、北山清太郎が独自に製作を開始したことに端を発します。1953年にテレビ放送が開始し、短編アニメがお茶の間でみられるようになり、1963年に放映された『鉄腕アトム』を機に本格的な長編アニメーションが放映されるようになりました。そうして、少しずつ日本のアニメ技術は進歩し、人々に受け入れられるようになり、アニメは現在あって当たり前のものとなっているのです。そして、そのアニメが今年2017年に100周年を迎えます。この100週年という節目を機にmedia100では、アニメという巨大な文化を探っていきました。そのため、現在のアニメ制作の現場を知ることができるアニメ講演会を企画しました。

今回の講演会ではアニメ制作の名門たる株式会社スタジオディーンと株式会社ガイナックスにご協力いただきました。スタジオディーンからは取締役野口和紀様、ガイナックスからは代表取締役山賀博之様に登壇していただき、アニメ制作の現場について熱く語ってもらいます。野口さんは『るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚ー追憶編』やテレビアニメシリーズ『今日から㋮王!』のプロデューサーをつとめ、2015年からは『この素晴らしい世界に祝福を!』の制作を行っている方です。対して、山賀さんは劇場アニメ『王立宇宙軍 オネアミスの翼』で監督デビューし、『トップをねらえ!』の脚本を手掛け、『天元突破グレンラガン』の企画をつとめておられます。現在はアニメーション作品だけでなくなんと!オペラ演出・イベント映像演出なども手掛けていらっしゃる方です。講演会の内容は以下の三部構成となっております。

第一部「山賀、野口両氏が語る個人史とアニメの今」

第一部では業界を代表するアニメーターであるお二人が、アニメ業界に入られた理由や、お二人の考えるアニメの魅力についてお聞きしました。アニメーターから見る実際のアニメ業界の魅力は大変に興味深いものでした。野口さんは、ある種、普通の人がアニメーターに抱く印象の通り、昔からアニメが大好きで、そのアニメを自分で作りたいと考えてアニメ業界に入ったそうです。しかし、驚いたことに、なんと山賀さんは学生時代はアニメというものに全く興味がなかったそうです。もともと学生時代は映画監督になろうと考えていました。しかし、映画業界の金銭的な厳しさに諦め、アニメは儲かるのではないかと考えてアニメ業界に進まれたとのことなのです。山賀さんはアニメ制作の魅力について、アニメ関連事業が視聴者の生活に密着していることを実感できることだと語りました。一方、野口さんはアニメ制作という仕事の持つ様々なクリエイティブさが本当に面白いとお答えになっていました。

第二部「学生自主製作をプロはどうみる?」

第二部では中央大学、武蔵野美術大学、多摩美術大学で実際にサークル活動でアニメを制作している学生たちの作品を上映してそれを鑑賞し、批評をいただきました。また、学生たちが疑問に思っているような制作の現場のあれこれについて詳しく尋ねていきました。山賀さん、野口さんも学生の作るアニメに対して大きな興味を示し、各サークルのアニメに詳細な批評を行ってくださいました。学生は絵コンテを下手に作らない方がいいかもしれないという意見などはアニメを作ったことのない私たちからしても予想外で、参加者全員、新鮮な驚きに包まれていたと思います。学生たちも両氏の意見は大変刺激になったようで、武蔵野美術大学のつりがね荘はご指導いただいた通りに今回放映したアニメを最初から作り直すと息を巻いておられました。クリエイターを目指す学生と現役のクリエイターが実際に相対し、その話を聞く場というものは非常に少なく、とても貴重なものです。Media100では今後も学生とクリエイター、ビジネスの世界が交わる場を作りうるような企画を作成していきます。

第三部「クールジャパンはクールか?アニメ業界のこれから」

第三部ではアニメビジネスのこれからについて語っていただきました。アニメは日本を代表する文化の一つととなり、クールジャパンが大きく取り沙汰されています。そんなアニメがどのような未来へ向かうのか、どのようなビジネスの形態をとっていくのかについてお二人の意見を聞けました。山賀さんは、アニメは価値の高い高級品と、タダで気軽に観られるものに二分化していくと語ります。高額のお金を払う劇場アニメと、携帯でみられるような無料配信されるアニメの二つが主流となって未来のアニメ業界を形作っていくのです。一方、野口さんからはアニメビジネスとはそもそもどうやって生まれていくものなのかについて語りました。アニメ業界はただビジネス、仕事という言葉で語れるものではありません。芸能のように、好きなことをやりたい!という強い熱意が企画作成に繋がり、結果的に大きなビジネスにつながっていきます。野口さんの憧れであるスタン・リーやトレバー・ホーンといった雲の上の人間とも、熱意をもって交渉することで企画を作成にこぎつけたそうです。夢は熱意があれば実現できるから学生たちにもその意思をもってこれから頑張ってほしいと激励の言葉をいただきました。

今回の講演会では自分の知らないアニメの本当の姿を知ることができました。実際、多くの学生たちが興味深い内容に満足して帰っていき、アニメ制作を行う学生たちの良い刺激になったはずです。様々なテクノロジーの進歩から激動、そして革新の時代を迎える今、アニメが内包するクリエイティビティがどのように変化していくのか、その一つの手がかりを得ることができました。

今回のイベントの詳細な模様はインタビューページに記載いたします。ご興味が湧いた方はぜひご覧になってください!